迷い犬、保護騒動で学んだこと

保護した直後の老犬ちゃんTwitterで先にご報告していました、老犬保護→無事、飼い主さんへ!…についてのエントリーです。

ヒロの保護主Oさんが車で通勤途中、道路の 真ん中でくるくるくるくると…回って徘徊している老犬を見つけました。
車は皆、大きく犬を避け立ち去っていく中、Oさんは車を止め、犬に近づき路肩へ連れていきました。
周りを見渡しても、飼い主らしき方はおらず、仕事へ行かなければならないOさんは助手席にその犬を乗せて走り出しました。

普段からヒロを車に乗せることが多いOさんにとっても、きっと、見知らぬ老犬を車に乗せることは難色があったと思います。
が、「放って置けない状況だった」と、後にOさんは、語っています…
※写真は保護して、助手席に乗せた直後の様子

職場で理解を得て、犬は仕事中、車の中で待機。

何度も車の中の様子を確認して、お水を飲ませ、ご飯をあげて…(助手席でトイレもしちゃいました)
なんとか、仕事を終えて自宅へ。
毛がかなり硬くなっていて、臭いもありました。

まずは、お風呂に入れて、固まっている毛を切ってあげて…
すでに22時過ぎ。
その日は保健所や警察へ届けることは出来ませんでした。

保護した直後に連絡を受けた私は、仕事中でした。
仕事が終了したのが夕方。
そこからすぐにSNSで、似た犬が逃げた、探している、などの情報を見つけようと検索しまくります。
が、全くヒットしませんでした。
つけていた首輪は汚れて古くなっており、外してあげて確認しても、連絡先も鑑札もありませんでした。
なので、犬の見た目だけではなく首輪の特徴などで検索をしていましたが…

翌日(保護して1日目)、Oさんは、この犬がさまよっていたように見えたため、まずは自身の犬、ヒロに感染してしまう病気は持っていないかなどメディカルチェックをかかりつけ医にしてもらいました。
その犬は、老犬で徘徊も痴呆症と思われました。
目も見えていないようでした。
耳も聞こえているか、微妙でした。
そういった犬と、どう接したらいいのか?という確認も含めて獣医師に相談しました。

  • ノミやダニなどはいない
  • 心臓が、かなり悪いようだ
  • 臭いは口から出ている
  • 目は全く見えていない
  • 耳もあまり聞こえていない
  • 年齢はかなり高いだろう
  • メスである

ということがメディカルチェックでわかったことでした。

Oさんがヒロを保護した経緯、ご存知の方も多いと思いますがあたらめて…
Oさんは、仕事の関係で知り合ったお宅で飼われている柴犬が、散歩もしてもらえず繋ぎっぱなし、ご飯も適当、フィラリアの治療も全くしないなど、ネグレクトであることを知り、何年にもわたって散歩、食事、医療をすべて一人で負担してきました。
そしてやっと、ヒロを引き取ることができたのです。
ヒロは現在、フィラリアも克服し、幸せにOさんのお宅で暮らしています。

…そういった経験からOさんは、「この子もネグレクトで、放置されていた犬なのでは…?」と、まずは思いました。
警察と保健所に通報する予定ではあったのですが、そういった心配から、あと1日様子を見ようということになりました。
探している人がいれば、どこかに書き込みなどが見つかるかもしれない。
そう思って私は、似た犬を探している人がいないか、ネットで捜索をする係を名乗り出ました。

Oさんは、この老犬を飼う覚悟でいました。
Oさんの自宅は、「はなれ」があるので、そこに老犬の女の子ちゃんを入れ、壁にクッション材を貼り付け、徘徊して壁にぶつかっても怪我をしないようにしました。
そして、トイレが出来ないようだったのでシートを敷き詰め…
などなど、様々な対応をしていました。

診察してもらった先生に、目薬も処方してもらって…
「人間じゃなくて犬の介護生活が始まるとは(^_^;)」
と、Oさんは様々な対応で忙しそうな中、明るく語っていました。

通報してネグレクトの飼い主に戻すことになったら…
そんな心配をするOさんとは
「ネグレクトだったら、保健所や警察に届け出はしないと思うから、老犬の女の子ちゃんが落ち着いたら届け出がないか確認しよう」
という話に、なっていました。
その間も、私はネット上の捜索&届け出の際に使用する各所の連絡先をチェックしていました。

その翌日(保護して2日目)、Oさんは仕事が入っていました。
車に乗って、通勤経路で信号待ちしていると…
ドアを叩かれ
「あなた!犬、保護しましたよね!?」
と男性に声をかけられました。
驚いていると、
「ありがとうございます!うちの犬なんです!!」
と続けて声をかけられました。
車を止めて話を聞くと…

  • いなくなったのは自分の家の犬
  • 18歳の老犬
  • 17年間、一緒に暮らして来た
  • 痴呆症
  • 仕事場(自営)で屋外にスペースを用意して飼っているが、柵の鍵を誰かに開けられてしまい、逃げられてしまった
  • 出勤して気がついたが、逃げてから時間が経っていて何も分からなかった
  • すぐに警察と保健所に届け出た
  • 仕事場の防犯カメラを確認して、道路に出て行く犬を見つける
  • その後、Oさんが保護してくれているシーンが映っていた
  • 車種を覚えて、昨日も今日も道路に立って車が来ないかとずっと待っていた

ということがわかりました。

「ネグレクトでは…」という考えは、ハズレていました。
大切に育てられ、真剣に探してもらっている犬でした。
仕事を終えて、老犬の女の子ちゃんを連れて飼い主の仕事場まで行くと、家族みんなで喜んで迎えてくれたそうです。
お風呂に入った後ではなぜ、汚れなど放浪感があったのか…?
「お風呂に入れようとすると、怒ってしまい大変なことになるので諦めていた」
ということでした。
お風呂に入れてしまったと話すと「ふわふわだ!」と飼い主さんのお子さん(小学生の男の子と女の子の二人)たちは、とても喜んでくれました。
※写真は、お風呂の後にパチリと撮影した様子

老犬の女の子ちゃん。
目も見えず、ほとんど耳も聞こえない中、ちょっと緊張してお風呂に耐えてくれていたのかも(^_^;)

「すぐに警察や保健所などに届けていなくて、申し訳ありません」
と、Oさんが伝えると…
「いえ!感謝しています。いなくなったと分かった時は、もう悲惨な最期しか想像できなくて。防犯カメラの映像で助けてくれた様子を見て、本当にありがたいと…」
と言っていただきました。

「もう、俺のことなんかも分からないんじゃないかな?」
と、飼い主さんが言うと、子どもたちが
「そんなことないよ!わかってるよ!!」
と、お父さんを励ましていたとのことでした。
老犬の女の子ちゃんは、ずっとくるくるくるくる…と、その場で回っていたそうです。

老犬の女の子ちゃんの名前も考えていたOさん。
「いつでも会いに来てください。」
そう言ってもらって、Oさんは
「寂しくなったけど、犬にとってハッピーエンドで本当によかった」
と、とても喜んでいました。
そして、ネグレクトなら届出などしないと実感したので、今後はすぐに連絡を入れようと思うと話していました。

Oさんの手元には、老犬の女の子ちゃんに処方された目薬が残りました。
「飼い主さんに渡さないの?心臓が悪いみたいですねなど言わなくていいの?」
と、私が聞くと
「犬とどうやって生きて行くかを決めるのは飼い主さんだから、強制するようなことになりそうなので渡さないようにした。17年も一緒に暮らしてきて、長生きしていて…こうやって今回も見つけてくれた。犬もうれしそうだった。だからいいの!」
とOさんは答えました。

防犯カメラの映像をチェックして車を確認し、ずっと立って車が来るのを待っていた飼い主さん。
1日目にOさんが来なかった時、どんなに不安だったろうと思います。
でも、2日目に見つけてくれて、本当に良かったです。

SNSでたくさん見かける、犬や猫を探す書き込み。
その方々にとって少しでも何か参考になればと、エントリーしました。
また、迷い犬や猫に出会った時、どうすることがベストなのか迷うこともあると思います
その時にも、何か参考になれば…
必ずしも、Oさんのように行動できないかも知れません。
でも、自分にできる範囲が何かを考えることが、まずは必要なのだと今回感じました。

シチュエーションが違ってしまえば、このエントリー内容は何の役にも立たないかも知れません。
でも…いざという時に、万に一つの可能性や参考になればと祈ります。

迷い犬や猫たちの捜索は、初動が重要と言われます。
今回の飼い主さんも、防犯カメラのチェック→車の捜索、各所に届け出…と、即、行動しました。
自営業で、自らが操作できる防犯カメラにあらかた映っていたという幸運さもありましたが…
そのシチュエーションに合致する、ベストな動き方があると思います。
今回は、そのベストな動きだったのだろうと思いました。

迷い犬や猫を探す、すべての人たちの元に、大切な家族が帰って来ますように。
みんな、帰っておいで!!!

関連リンク:パーコちゃん保護騒動で学んだこと

※Oさんは、犬を略取するために届け出を怠ったのではなく、犬の放浪していたような様子を見て、一時的に保留していた状態になります。ご理解のほど、よろしくお願いいたしますm(_ _)m